むし歯・根管治療
むし歯・根管治療
むし歯があっても…“必ずしも症状があるとは限りません”
個人差はありますが、むしろ、症状がないことがほとんどです。痛い、しみる等の自覚症状を有する場合は、既にかなり進行している可能性があります。もちろん、痛みがあるからといって必ずしもう蝕が原因で症状が出ているとは限りません。まずは主訴、現病歴から必要な検査を実施し、他の鑑別疾患を考慮した上で、総合的に診断し、治療へ進めていきます。当院では、いきなり説明なしに歯を削ることはありません。
問診で伺った主観的情報を整理し、診断するに必要な検査(客観的情報)を行います。検査法の種類は多くあり、視診、X線検査、触診など複数の検査を行った上で、総合的に診断します。
“なぜ複数の検査が必要なのか”
検査には100%の正確なものは存在しません。複数の検査を組み合わせ、矛盾がないことを確認した上で、正確な診断へ導きます。
医療用の拡大鏡を使用することで、肉眼では見えないう蝕の除去や健全歯質の最小限の切削量に留めることが可能となります。う蝕治療においては、必ず拡大鏡を用いて行います。う蝕検知液を使用し、軟化象牙質の取り残しがないことを確認します。
痛みに対する不安、治療内容に対する不安、歯を削る際の音や環境に対する不安など、様々な不安を持って来院されるかと思います。
これらに対する不安を極力軽減させるために、以下の配慮を心がけております。
・表面麻酔の塗布
・細い注射針の使用
・麻酔薬注入時の低速度
歯垢(プラーク)に含まれる細菌(ミュータンス菌など)は糖分解や歯面への付着などのう蝕の発生に関与する特性を持ちます。原因菌によって排出される酸などにより、歯のエナメル質の成分を溶かして脱灰が生じます。実際には、細菌、食事、宿主、時間など多くの要因が重なりあってう蝕が発生すると言われています。
歯の性質は一人一人異なり、う蝕になりやすいかどうかの要因となります。また、唾液の成分や機能も、う蝕発生要因としてあげられます。歯質を強化するためには、歯の再石灰化を促進するフッ化物の応用がう蝕抑制に効果的となります。
口腔内細菌の存在は、う蝕の発生に必須の条件となります。歯の表面に付着した細菌の塊であるプラークは、一種のバイオフィルムであり、薬剤は行き届かず、産生された酸がプラーク直下に停滞することで、歯の脱灰が始まり、う蝕の要因となります。
糖分の多い間食が増えると、口の中が酸性になり、う蝕になりやすい状態になります。間食回数に注意したり、糖分の少ないおやつを選んだり、バランスのとれた食生活を送ることを心がけてください。
歯の萌出時期、歯面への食べ物やプラークの停留時間などが関与します。特に歯の萌出後1~3年以内のう蝕の発生と進行を抑制することで、う蝕に強いが獲得されます。
初期のう蝕
歯の表面はエナメル質で覆われており、う蝕はまずエナメル質に発生します。エナメル質がう蝕になると、光沢がなくなり白っぽくザラザラした感じになります。この段階ではまだほとんど痛みを自覚することはありません。う蝕の好発部位は、咬合面の小窩裂溝部分や歯と歯の間の隣接面です。
象牙質まで進行したう蝕
エナメル質の内側には象牙質がありますが、う蝕が象牙質まで進むと冷たいものや甘いものを食べた時に歯が痛むことがあります。自然治癒することがなく、治療の対象となります。
神経まで進行したう蝕
象牙質の内側には、神経や血管が密集した歯髄があります。う蝕がさらに進行して歯の神経にまで到達すると歯髄炎となり、歯のひどい痛みを自覚します。こうなると、う蝕になった部分の歯を削るだけでなく、歯髄まで取らなくてはなりません。治療を終えるまでに通院回数が多くなります。
残根(歯質が大きく失われた歯)
う蝕によって歯の大部分がほとんど溶けてしまい、歯の根だけが残った状態を残根と言います。ここまで進むと抜歯になる可能性が高くなります。
歯の中には歯髄とよばれる神経や血管が存在します。う蝕による細菌感染が歯髄にまで到達すると歯髄炎や根尖性歯周炎となり、根管治療の対象となります。根管治療とは、歯の中の感染組織を取り除き、歯を保存するための治療方法になります。
個人差があり症状の出現は様々でありますが、該当する方はお早めにご相談ください。
根管治療をする上で、処置を開始する前の診査診断は非常に大きな意味を持ちます。
一般に行われているX線検査でもある程度の情報を得ることができますが、立体的に存在している歯と周りの組織を2次元のX線フィルム上で診断するには、情報量に限界があります。
当院では難治性の症例に対しては、歯科用CTを用いて3次元的な情報を得ることでより正確な診査診断を行います。感染源の発見、病巣の大きさ、進行状態や歯根の形態などを精密に診査してから治療へ進みます。
高倍率の歯科用ルーペ(拡大鏡)を使用することで、肉眼では見えない感染組織や根管の精度の高い処置を行うことができます。治療の成功率を上げる一つの要因となるため、当院では必ず使用しております。
ニッケルチタンファイルは柔軟性や追従性を有し、複雑な根管形態であっても効率的に治療が可能になります。治療時間の短縮や正確な根管形成、治療成績の向上が見込めます。近年、ファイル自体の耐久性が向上し、安全性も向上しております。