フッ素でむし歯予防!
- 2024年7月19日
- 院長ブログ
むし歯予防には、フッ素!というのは既存の事実だと思いますが、フッ素がなぜむし歯予防に効果的なのか、疑問に思ったことはありませんか。
今回は、フッ素によるう蝕抑制メカニズムについて簡単に述べたいと思います。
フッ素によるう蝕抑制メカニズムは、①エナメル質結晶の安定化、②再石灰化促進作用、③プラーク細菌に対する抗菌作用が代表的な3つの作用になります。
それぞれの意味をかみ砕いていくと、
①エナメル質結晶の安定化!?
歯の最表層は、98%の無機質のエナメル結晶構造からなります。この結晶構造に一部脆弱で不安定な部分があり、この部分にフッ素が触媒のように働くことで、より安定で強固な結晶構造へと変化させます。
結果として、フッ素により安定したエナメル結晶構造は細菌が出す酸に溶けにくくなり、むし歯を予防してくれます。
”歯質の強化です”
②再石灰化促進作用!?
まずは簡単にむし歯の発生機序から説明すると、むし歯とは細菌が出す酸により歯が脱灰(ミネラル質の崩壊)し、う窩が形成される現象のことを指します。
う窩が形成されてどんどんむし歯が進行していくと、治療が必要となるのですが、そこにフッ素が作用すると、ミネラルが再構築される再石灰化現象が促進されます。むし歯によって歯の表面が脱灰するスピードよりも修復する(再石灰化)スピードの方が上回ると、元の状態に回復します。
そして、この機序にフッ素が関与しているというのが、フッ素による再石灰化の促進ということです。
③プラーク細菌に対する抗菌作用!?
歯垢内で細菌による酸が産生されると、存在するフッ化物がイオン化され、細菌の酸合成過程に阻害作用が働き、結果として細菌による酸産生能が減少します。
これら以上が代表的なフッ素によるう蝕抑制メカニズムになります。
実際にフッ素を応用するとなると、日本国内では、オーラルケア製品や歯科医院でのフッ素ジェルによる塗布がメインになります。
海外においては集団的う蝕予防策として、水道水や食卓塩にフッ素の添加(フロリデーション)を実施している国も存在しますが、現在日本においてはこれらのフロリデーション策は実施されておりません。
日本国内において日常的かつ身近なものでフッ素を使用するとなると、ブラッシング時に使用する歯磨剤となります。
フッ素が配合された歯磨剤を使用する際にどういったものを選択すれば良いのか、目安となる基準を以下に表示しますので、ご参考ください。
~ take home message ~
乳歯の萌出~2歳 | 歯磨剤のフッ素濃度 500ppm |
2~6歳未満 | 歯磨剤のフッ素濃度 900~950ppm |
永久歯萌出後~、成人 | 歯磨剤のフッ素濃度 1450ppm |
※フッ素濃度1450ppmの歯磨剤は、6歳未満は使用しない
※う蝕リスクの高い小児については、歯科医師へ要相談。