歯に真珠!?|船場池田歯科|堺筋本町の歯医者・歯科

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コラム

歯に真珠!?|船場池田歯科|堺筋本町の歯医者・歯科

歯に真珠!?

晩秋。

開院して一年が経ち、この一年を顧みると反省点は多々ありますが、プライベート仕事ともに充実した一年だったと思います。

卓上カレンダーをみれば2024年も残り2ヵ月を切り、街中ではそろそろ年末年始に向けての準備が始まる時季ですね。

 

今回ご紹介したい症例は、左上の親知らず抜歯です。

といっても、どこの歯科クリニックでも日常的に親知らずの抜歯を施術していると思いますが、X線をみて頂くと普段と違うことがわかると思います。

左上の親知らず部分に注目して頂くと、親知らずの後方に隣接するように歯牙様不透過像が存在しており、私はこの時、埋伏過剰歯と診断し全く独立した歯が存在していると愚考しておりました。普段通りに抜歯を試みると、普段とは違う感触で、なかなか歯が動かなかったのです。通常、上顎の親知らず抜歯であれば、容易に抜歯できることがほとんどです。何かおかしいと思いながらも冷静に時間をかけてゆっくりと脱臼を試み、最後は無事に抜去できましたが、30分以上は時間を要した記憶があります。抜去した歯をみてはじめてエナメル滴(別名:エナメル真珠)と判明し、エナメル滴のサイズがかなり大きかったので、脱臼困難の原因が、その時わかったというのが本音です。術前診断では、過剰歯と診断していましたので、顧みると鑑別診断としてエナメル滴も頭に入れておくべきであり、場合によってはCT検査を行ってもよかったと思います。

そこで、今まで親知らずの抜歯をしてきましたが今回初めてエナメル滴(エナメル真珠)の抜歯をしたので、文献にて調べてみました。

2012年に“Clinic and Practice”というジャーナルで投稿された論文上では、エナメル真珠(エナメル滴)の平均有病率は2.69%、直径は0.3~4.0mm(平均1.7mm)という報告があり、今回私が経験したケースのサイズはかなり大きいものであったと判明しました。(正確に計測はしておりませんが、4mm以上はあります)

有病率が3%未満ではありますが、今後も同様なケースに遭遇することも予測されるため、術前にはCT検査で精査を行い、アプローチの仕方について熟考することが肝要ですね。

 

是非、ご参考の一助になればと思います。