親知らず抜歯ケース1
- 2024年1月15日
- 院長ブログ
親知らず抜歯の症例を紹介します。
30代男性
主訴:たまに右下の親知らずが痛む
写真を見ますと、親知らずの歯の頭が一部分出ているのがわかるかと思います。
親知らずの歯の大半は歯ぐきに覆われており、この歯と歯ぐきの隙間に食渣やプラーク、歯石が溜まることで痛みや腫れといった炎症を引き起こします。
なぜこんな生え方をしてくるのだろうか、まっすぐ生えていれば抜歯する必要もなかっ
たのに…、とお問い合わせを頂くことがあります。
このようにまっすぐに生えてこない原因としては、顎の大きさが関係していることが考えられます。顎の大きさに対して親知らずの歯が生えてくるスペースが少ないために起こり得られますが、日常的に診療をしているとよく見かけますので、決して珍しい生え方ではありません。
抜歯に至るきっかけとしては、我慢できないくらいの痛みや腫れなどの症状の出現によって抜歯を決心される方が多いです。他の随伴症状としてあまり多くはありませんが、炎症が増悪した場合には、口が開けづらかったり、顎の下のリンパ節が腫れたり、などと炎症が他の組織に拡がっていくこともありますので、症状が出た段階で注意が必要です。ただ、親知らず自体が奥に存在しているために、自分では把握することが難しく、歯が痛いのか顎が痛いのかどこが痛いのかわからないこともあります。
“歯を抜くのは怖い”
とはいっても、いざ抜歯するとなったら怖いですよね。
最近ではYouTubeで抜歯の動画が配信されているみたいで、中には動画をみられてから抜歯に臨む方もいらっしゃいます。どうやって抜歯をしているのか、意外と関心を持つ方が多いようです。
今回の症例での治療内容ですが、まず大部分歯ぐきに埋まっているため、切開をしないといけません。麻酔を行ってから、メスで歯ぐきを切開します。
親知らずの後ろから一つ手前の歯まで切開します。(水色ライン)
歯ぐきを切った後は、歯ぐきをめくります。すると骨と親知らずがでてきます。
レントゲンで見ると歯の後方半分が骨に埋まっていて、これでは顎の骨に引っかかって出てこないため、引っかかりを取り除くため、後ろ半分を分割して取り除きます。
すると、引っかかりが無くなるために、歯を取り出すことができるようになります。
最後は切開した歯ぐきを2針ほど縫合して終了です。今回は入室から退室までの所要時間としては30分程度で終わりました。1週間後に抜糸を行い、創部は痛みもなく経過良好でした。
親知らずは一番奥に生えてくる歯なのでセルフケアが行届きづらいです。
痛みや症状が出てからでは隣の歯にまでむし歯が移行しているケースも少なくはありませんので予防的な歯科受診をおすすめします。